大人も、子どもも自分のままで過ごせる居場所 -プレーパークなかだの森で遊ぼう!・中川ひろみさん― 前編



2月上旬。最高気温7℃のその日、思う存分「冬の一日」を遊ぶ子どもたちと、傍らで思い思いに過ごす大人たち。
『プレーパークなかだの森で遊ぼう!』を運営するNPO法人子どもへのまなざし代表の中川ひろみさんは、そのなかにいました。


「実は『なかだの森』は、私がこんな場所があったらいいと思って始めたわけじゃないんです。
始めたときはこんなところに誰かくるのかしら、なんて思っていて(笑)」


意外な言葉を、気さくな笑顔で話し出してくれました。
では、なぜ『なかだの森』はできたのでしょうか。

それは「お母さんたちにとって必要な場所だったから」
とひろみさんは言います。
そのきっかけからお聞きしました。


公園で自信を無くすお母さん達に背中を押されて


「自分自身が子育てサークルを作っていた経験もあって、もともとは日野市子ども家庭支援センターで子育てサークル活動をしているお母さんたちの、支援を担当していました。
子育てひろばにやってくるお母さんたちに、『室内の遊び場はたくさんあるけど、外の遊び場がないんですよ。公園に行くと、いつの間にか我が子を怒っちゃう』と言われて」


たとえば、滑り台の逆さのぼりはしちゃダメ、砂場に水を入れてはダメ、他の子の砂場道具には触ってはダメなどなど。
公園がのびのび遊べる場とは言い切れないことは、子育て経験がある人なら誰でも思い当たる節があるのではないでしょうか。


「そして、公園が怖い、というお母さんたちの声を聞きました。『私、あの人にどう思われてるんだろ?』とか、『私、子育てちゃんとできてる?』って。その裏には孤独で緊張のなか、子育てしている姿が見えてきました


その頃日野市で次世代育成推進の市民委員を公募していたのを見つけ、参画。
そこでお母さんたちの声を届け、活動をはじめたのが「なかだの森であそぼう!」なのだそうです。


「最初はイベント内容を決めていたんです。この日は焚火で、この日はどろんこ遊びでとか。そうしないと人がこないと思ってたから(笑)。でもとくに決めなくても、こういう場所を面白がってくれる人はいるんだと気づいて。いつでも鍋をやることだけ決めて、あとはそれぞれ自由に過ごしてもらうことにしました」


『プレーパークなかだの森で遊ぼう!』は参加無料、だれでもどうぞの遊び場。
毎週金曜日と毎月2、3土曜日に開催で、なかだ鍋と呼ばれる鍋を食べるときは調味料代として大人ひとり50円をもらっているそう。
おにぎりなどの主食、おわん、お箸、鍋の具材を持ちより、みんなで鍋を囲みます。

取材日、残念ながら鍋はおわってしまっていましたが、焚火には七輪が置かれ、各々持ち寄ったお餅やソーセージが。


そしてここでは、子どもが主役。
子どもたちがやってみたいと思ったことに挑戦できるよう、意志を尊重しているのだとか。


そうすることで、子どもたちは多くのことを学びます。あ、これを嫌がる子がいるんだとか、こうすると転ぶのかとか。
仲良くね、ケンカしないで、危ないことしないでって言うんじゃなくて、実際にやってみることが大切だと思います」


取材させてもらった日も寒い日でしたが、子どもたちは服が汚れるのも気にせず水をくんでおままごとをしたり、ザリガニを見つけたりしていました。


子どもは親の姿をちゃんと見てる


なかだの森には子どもだけでなく、たくさんの大人がいます。
そういった一人ひとりとの出会い、そしてそこで起きる化学反応が、この場を維持する原動力になっているとひろみさんは話します。


「初期の頃に来てくれていた男の子がいて。その子は大学受験に失敗して、昼夜逆転の生活を送っていたんです。それでそのお母さんが、『何かボランティアさせてくれない?』と。子どもと遊ぶだけでいいならぜひ来て、と言ったんです。
そうしたら、彼をめぐって子どもたちが争うわけですよ(笑)。みんなお兄さん好きだからね。で、そのあとに彼が『あの時、僕はどうすればよかったんだろう』って悩むんですよ。
ああ、人のなかに入ると人って変わるなぁなんて思っていて」


そして、なかだの森を訪れるお母さんたちの様子を見ているときに、彼がつぶやいた一言がひろみさんの心に深く残っているそう。


「ここにくるお母さんたちは、自分はこんなことを大事にしている、とか話すのが好きな人が多くて。
笑顔で話しているときもあるけど、ポロポロ泣いちゃうときもあるんです。みんな素敵なお母さんなのに私はダメとか、子育てしかしてないのにうまくできない、とか。

みんな働いていたときの自分がいるから。働いていたら給料をもらえる、イコール社会から認められてるってことになるけど、子育てだとそういうのがないでしょう?で、そういうポロポロ泣いているお母さんを見て、彼が『うちのお母さんにもこういう場所があったらよかったのに』ってつぶやいたことがあって」


母子家庭だった彼の家庭。お母さんは懸命に働いて彼を育てていました。


「お母さんは彼のためにと働いていて・・・だけどこんな風に悩みやしんどさをつぶやける子育て仲間がいたら、もっと笑顔だったんではないかって・・・。
子どもは親に反抗しながらも、ちゃんと親の姿をみている。そして親の生きづらさまで背負っていく。

きっと彼はひとり自分のために誰にも迷惑かけないように頑張るお母さんより、人の輪の中でたくさんの人に助けられながら笑っているお母さんでいてほしかったんでしょうね」


前編はここまで。
後編では、なかだの森に来ることで
段々と変わっていくお母さんたちの様子や、
ひろみさんからのメッセージをお届けします!



<information>

プレーパークなかだの森で遊ぼう!
日野市日野本町六丁目1番地の88
駐車場(100円/1時間)、駐輪場あり
JR日野駅より徒歩15分
多摩都市モノレール甲州街道駅より徒歩12分

【開催日】
毎週金曜日・毎月2、3土曜日 雨でも開催しています!
詳しくは…今月の予定/ カレンダー

【時 間】  
10:00~17:00 

【参加費】
無料、だれでもどうぞの遊び場です。(お鍋を食べる時は調味料代を頂いてます。)

【持ち物】 
水筒、着替え(汚れても良い服装で来てくださいね。)、冬は防寒、夏は虫よけを!
※なかだ鍋を食べる方は…おにぎりなどの主食、おわん、おはし、鍋の具材(野菜や缶詰、豆腐など)調味料代として、大人一人50円頂いてます。

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